このページでは、私たちのin vitroコアバッテリー試験である、Ames試験、NRU試験、NM試験を紹介します。また、一例として私たちの研究成果も紹介しています。

Ames試験

Ames試験は、微生物を用いて変異原性*を評価する試験です。

食品添加物や医薬品などの安全性を評価する目的で古くから広く用いられています。この試験では、生育に必要なアミノ酸が合成できない特殊な細菌を用います。変異原物質によって突然変異が起きると、細菌は自力でアミノ酸を合成できるようになります。アミノ酸を与えないと生育できなかった菌が、突然変異によってアミノ酸無しでも生育可能な性質に変化し、アミノ酸を含まない培地上で菌の集団(コロニー)として現れます。このコロニー数を指標として変異原性を評価します。

溶媒のみを作用させたAMES試験用プレート

溶媒のみを作用させたプレート

変異原物質を作用させたAMES試験用プレート

変異原物質を作用させたプレート

Ames試験を実施したプレート。突然変異を引き起こした細菌は、生き残り増殖することができるため、コロニーを形成します。

NRU試験

NRU (Neutral Red Uptake) 試験は、哺乳類細胞の生死を評価する細胞毒性試験です。

この試験では、生きている細胞は周囲のものを細胞内に取り込むことができるが、損傷を受けた細胞は取り込むことができない、という性質を利用しています。細胞に被験物質を曝露させた後、続いて赤い色素 (NR)を与えると、損傷がない、もしくは少ない細胞は色素を細胞内に取り込みますが、損傷が大きい細胞は取り込むことができません。この取り込んだ色素の多さを指標として細胞毒性を評価します。

NRU試験のプレート

NRU試験のプレート。左から右にかけて物質の曝露量が多く、それに伴って細胞毒性が増加している(取り込んだ色素が少なくなる)ことが分かります。

In vitro MN 試験

In vitro MN (Micronucleus) 試験は、哺乳類細胞を用いて染色体の変化を検出する遺伝毒性*試験の1つです。

遺伝毒性試験とは、種々の機序で遺伝的な障害を引き起こす物質を検出するために考案された試験です。食品添加物や医薬品などの安全性を評価する目的で広く用いられています。通常、細胞は分裂する際に染色体を持つ核も同時に2つに分かれます。しかし、遺伝毒性を有する物質によって染色体が損傷を受けた場合、この染色体の一部が切断されて断片化し、分裂後に小さな核(MN)として現れてきます。このMNの発現頻度を指標として遺伝毒性*を評価します。

In vitro MN試験の顕微鏡画像

In vitro MN試験の顕微鏡画像。左下の細胞にMNが見られます。

研究結果のご紹介

私たちは、IT1(間接加熱式たばこ1)に対してin vitro毒性評価を実施しました。その結果、IT1の変異原性や細胞毒性が、紙巻たばこのそれと比較して非常に低いことが明らかになりました。

IT1から発生するたばこベイパーを培養細胞及び細菌に曝露し、遺伝子変異や細胞損傷を引き起こす程度を紙巻たばこ(3R4F)と比較しました。

IT1から発生するたばこベイパーによる遺伝毒性や変異原性、細胞毒性への影響は、紙巻たばこよりはるかに少ないことが確認されました。

Mutagenicity (Ames assay)

紙巻きたばこ(3R4F)と加熱式たばこ(IT1)を比較した際のAmes試験の結果

Genotoxicity (MN assay)

紙巻きたばこ(3R4F)と加熱式たばこ(IT1)を比較した際のMN試験の結果

Cytotoxicity

紙巻きたばこ(3R4F)と加熱式たばこ(IT1)を比較した際のNRU試験の結果

本調査は、外部試験機関にて、GLPを遵守し実施されました。

GRID LIST
Chemical analysis and in vitro toxicological evaluation of aerosol from a novel tobacco vapor product: A comparison with cigarette smoke

Regulatory Toxicology and Pharmacology, 2018

Heated tobacco products
IT1
Aerosol chemistry
Chemical analysis and in vitro toxicological evaluation of aerosol from a novel tobacco vapor product: A comparison with cigarette smoke
Nov 2018

Regulatory Toxicology and Pharmacology, 2018

関連情報

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製品設計
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エアロゾル化学
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毒性評価