製品開発プロセス全体における
製品設計の役割
製品設計の役割
新製品の開発において、私たちは求められる設計上の要件を前もって確認します。製品がこれらの要件を満たすように、プロトタイプによるテストを繰り返し、確実な品質管理が行えるよう検証を実施します。コストや時間・品質といった要因が新製品開発プロジェクトの進行に大きな影響を与えます。
効果的な製品設計には、お客様のニーズや要望・競合環境・製品を投入する市場の特性の理解が必要です。
新製品の概要が定義されると、初期段階ではいくつかのアイデアについて、さまざまな角度から実現可能性を評価します。最終的に製品コンセプトを決定し、それに見合う機能と外観を備えたプロトタイプを作成します。
このプロトタイプについて、様々な指標に関する評価を実施します。たとえば、お客様の嗜好性(味・使用実感・ユーザーインターフェース等)や技術的評価(工学的な要件・大量生産に関する要件等)、経営判断のための評価(コスト・販売価格・投資額等)、リスク低減可能性に関する評価(使用時にベイパーに含まれる健康懸念物質の量等)等があります。
次のステップは、製品の詳細を設計するフェーズです。ここでは、プロトタイプから工場での生産に移行するにあたって、必要なすべての要素を特定します。お客様の目に触れる事項(消費者調査)から、技術的な事項(規制および製品の安全性に関する認証や知的財産に関する調査等)まで、様々な角度から設計事項を精査し、試験を実施します。
最終段階は、工場での大量生産に向けた検討です。ここでは、工場で生産された製品が設計仕様に適合しているか、工場に必要な工程や品質管理体制が備わっているかを確認します。
これらの様々な段階のプロジェクトを適切に遂行するため、ゲート管理の仕組みを導入し、進捗や妥当性の確認、実行リスクの評価などを継続的に行っています。
関連情報
時には、製品設計で提示された要件を満たすために新しい技術開発が必要になる場合があります。リスク低減製品*の多くはデバイスとリキッドやたばこスティックなどの消耗品から構成されますが、技術開発はその両方について実施されます。
一般に、食材は加熱や発酵などの加工により、味や香りが変化します。例えばお茶は、その発酵度合いによって緑茶・ウーロン茶・紅茶と様々な種類のお茶に分類されます。また、お茶をいれる際のお湯の温度によって茶葉から抽出される成分の量が変化し、味・香りに違いが生じることが知られています。加熱式たばこ製品も同様に、たばこ葉の加工処理と使用する際の加熱温度により、様々な味・香りのバリエーションを創ることができます。私たちは、お客様の期待に応えられる味・香りを実現するために、直接加熱式および間接加熱式たばこ製品のそれぞれの特徴を生かしつつ、たばこ葉の加工処理に関する研究開発および技術開発を行っています。
十分な技術開発によって、製品開発チームはキーとなる部品や要素技術に関する探索や評価、実用性の確認等が可能になります。たとえば、リスク低減製品*の新しい加熱機構や、デバイスの充電に関するメカニズム、新しい製品カテゴリのコンセプトなどがこれにあたります。これらの要素技術がある程度のレベルまで達したら、開発チームがそれらの要素技術を新製品に使用できるようになります。
技術開発の目標は、お客様のニーズや、製品戦略・規制の要件・科学的発見等といった様々な情報源から設定されます。お客様に新たな価値を絶え間なく提供していくためには、開発プロセス全体のこの初期の段階で、適切な目標設定やリソース配分を行い、イノベーションを促進するための余裕を確保することが重要です。
基礎研究は、技術開発や製品開発を支える土台です。私たちはグローバルなたばこ会社として、これまで数十年にわたってたばこ関連の基礎研究を実施してきました。ここで蓄積された知識は技術開発や製品開発を実施するにあたって不可欠なものです。さらに最近では、デバイスのユーザーエクスペリエンスやエレクトロニクスといった新しい分野の研究も進められています。
ユーザーエクスペリエンス(UX)は、ユーザーが製品やサービスを通して得られる知覚や認知等の体験、およびそこから得られる全体的な印象を指します。
私たちは、デバイスのUXを向上するために、実際の使用時におけるお客様のニーズに着目し、お客様の視点から製品コンセプトを評価しています。製品の全体的なUX、すなわち、お客様が製品を箱から出してから最終的に廃棄するまでの体験全体が評価対象です。それのみならず、お客様の動機やニーズを理解するために、社会学的・認知科学的・人間工学的なアプローチを活用した調査も行います。例としては、ビジネス・エスノグラフィー、すなわち、お客様の日常生活に密着して観察するアプローチがあげられます。さらに、お客様が製品を簡単に使用できるかどうかを、お客様の発話や行動・アイトラッカーを用いた視線移動から評価する「ユーザビリティテスト」や、製品キャンペーンや顧客サポートなど、お客様との既存のタッチポイントの有効性の評価も行っています。